公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会(以下、考える会)は、違法オンラインカジノと若者の闇バイト問題をテーマに勉強会を開催しました。国会議員や警察、支援団体関係者らが参加し、現状の深刻さと必要な対策について議論が行われました。

闇バイトの背景と家族の証言
勉強会では、ギャンブル依存症により闇バイトに手を染めた若者の母親が体験を語りました。息子はパチスロやオンラインカジノにのめり込み、多額の借金を抱え、犯罪に手を染めました。家族の支援不足と社会の無理解が、深刻な事態を引き起こしたと訴えました。
彼女の息子A氏は、高校を中退後、ギャンブルに溺れ、家族からの借金要求が激化。家族は何度も支援を試みましたが、最終的には彼は闇バイトに関与し、逮捕されました。「もっと早く依存症に気付いていれば」と母親は涙ながらに語りました。
違法オンラインカジノの実態
田中紀子代表は、違法オンラインカジノの影響が拡大している背景を解説しました。特にSNS広告や過剰なポイントサービスが若者の依存を誘発し、犯罪へとつながる可能性が高いと指摘しました。オンラインカジノの市場規模は年1兆円を超え、犯罪リスクも増大しています。
違法オンラインカジノの問題点は、海外では合法でも日本国内では違法とされる点にあります。日本の若者は国内外の法制度のギャップを知らず、容易に違法サイトに引き込まれる危険性があります。
提言と対策の必要性
田中氏は、次の3つの対策を要望しました:
- 違法オンラインカジノの厳罰化と専門捜査体制の強化
- 日本国内での広告業者や決済代行業者の取締り強化
- アクセスブロッキングの法制化
田中氏は「オンラインカジノは日本市場を狙い、法の網をかいくぐって運営されている」と指摘し、政府の迅速な対応を求めました。
社会的な理解と支援体制の構築
依存症対策の情報提供は地方では依然として不十分です。政府への予算増額要請や、警察と外務省の連携強化も必要とされています。田中氏は「自己責任論では解決しない問題」として、社会全体での対策の重要性を強調しました。
依存症対策として、地域のセミナーや相談窓口の設置、学校教育での啓発活動の強化も提案されました。依存症者とその家族が孤立せず、支援を受けられる環境づくりが求められています。
闇バイトに関連する犯罪リスクの高まり
田中氏は「最初に口座売買を行い、その後詐欺や強盗へと犯罪行為がエスカレートするケースが多い」と警鐘を鳴らしました。違法サイト運営者だけでなく、犯罪収益を得る関連業者の取り締まりも急務とされました。
今回の勉強会は、オンラインカジノ依存による社会的な課題を浮き彫りにし、若者を犯罪から守るための具体的な取り組みが急務であることを示しました。
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